毎年この時期になると、姪のところからクリが届く。
むくのが大変だから、食べるのは止めようと、店先では見ないふりを
して通り過ぎても、届いたクリに出会うと、ぶつぶつ言いながらクリ
と向き合いはじめる。一つ一つ皮をむきながら、休日しかそんな時間
ないはずなのに、届くまでに、その一つ一つに、何回姪達の手が触れ
たのだろうか。とか 大変だったろうにとか そんなことが浮かんで
きたりする。その頃になると、手が痛い肩が痛い疲れたなどの苦痛は
和らいで 冷凍保存用や渋皮煮にとわくわくしてくる。体力的に関わ
れる時間は2時間ぐらい。休憩しながらだから、なかなかだ。上手に
むけないから渋皮煮にする栗も限られてくる。ほんの少しだけれど、
今日のは ほっくり煮えた。
煮ものにも加えたりしながら、質素な我が家の食卓を、今年もワンラ
ンク明るくさせてくれる食材になってくれることは間違いない。
合間に、「三角みづき・隣人のいない部屋」をよんだ。
たしか彼女は「戦場カメラマン」になろうと、鹿児島から上京して大学に
入学、、在学中、病気になって、体力的にもそのゆめをあきらめざる得
なかったのだろう。この詩集には、そんな思い、葛藤がぎゅぎゅ詰まって
いた。ように思う。
「これ以上うつくしいものを 知ることはないから 悪事をはたらいた」
帯に書かれた言葉がにくい。