みやうちふみこのブログ

日々の思い こぼれないように 

アイロン(タイトル・岡島弘子詩集・「洋裁師の恋」より)

      岡島弘子詩集・「洋裁師の恋」

  タイトル「アイロン」を読み終え

  思わずいずまいを正し
  辺りを見回す
  先ずは流し台付近 
  もう少しもう少しと
  あれからどのぐらい経っただろうか
  捨てられずにいた台ぶきんを
  ゴミ箱にポイっと捨てる
  それだけで明るくなった
  流し台周辺を見つめる
  
  冷蔵庫のドアに留められている買い物メモ
  全てに横線が引かれていても そのままだ
  ハヤシライスのレシピはわたしの字
  フレンチトーストの分量はkayoの筆跡
  雑然と ずっとそのまま
 
  目を移す。
  
  テーブルの上の胡蝶蘭。すっと伸びた茎に 
  とまった白いチョウ達。らんらんらん。
  すこし首かしげて ランランラン。
  
  君が 株ごととけそうになったのは何年前
  だろう。ふらふらの根元から伸びた茎に、し
  がみつくようにしていた透明な終り花。初対
  面のあいさつの様に ハサミでチョンと切
  ったら、見つめるあなたの目「残酷ね」と言
  っている風だった。間もなく花芽をのばして
  ふらふらの茎に3輪だったか花をつけたのは
  遠い記憶。根元がふらふらで でも花咲かせ
  ようとあせって がむしゃらに 憔悴した姿
  は あなたを見ているようだった。急がなく
  っていいの。根をしっかり張って。朝を迎え
  るたびにそうつぶやく声を聞いていた。葉を
  蓄えて。そう言いながら葉を傷つけ、折れて
  しまいそうになったとき 再生は無理かと思
  った。思いついてセロテープで保護しておい
  たら再生したの。あの頃からだった。大丈夫
  !と思えるようになったのは。あれからし
  らくあなたのこと 会うとき以外は 忘れて
  ました。知らんぷりしていたら自己主張する
  ように、この春、花芽をつけて 今 真白い
  チョウがふんわりふんわりらんらんらん う
  たいはじめたわ。
 
  今朝は、トラツグミの呼ぶ声で目がさめたの。
  昨日みーみー鳴いていたセミ
  今、近くで みゆ~ん みゅ~~ん鳴いてる。
  もうすぐだね、、み~んみ~ん鳴くまでには。

  

  全生涯を終える
  まだその重さに達してはいないのだろうか
  昨夜は、kayoと言い争いをしてしまった。

  いつまでも29年前の意識のままの二人!?
  もしかしたら 40年前のままだったりして。

  わたしの意識があの頃のままなのかも知れない。

  もがいてもあがいても
  どうどうめぐり・・。
 
  底なし沼にジュッと
  アイロンあててみようかなぁ。