あなたの元上司だった
あなたの最後まで尊敬していた方は
あなたの棺の前で手を合わせ線香をあげ
母に向かって
お悔やみの言葉をかけてくださいました。
「 もっと でんと構えていれば良かったんだよ。」
「ガッハハハ・・・。」
母は笑顔をつくり
「ほんとうに色々とお世話様になりました。」
と、深々と頭を垂れた。
わたしは 玄関で
ギュッと口元に力を入れひとみを見開いて
その方の目を見て深く一礼しました。
ご一緒の元同僚Mさんのお顔は蒼白だった。
昔、わたしはある方とお見合いをした。
「彼は原石、磨いてやってください」と
おっしゃったのはだれだったか
翌日、兄はそのお見合いを断ってくれました。
「妹には無理だと・・」
もしも。 もしも。
もしもしかめよかめさんよ
教えてください。
あの日から何度も何度も思ってきたこと。
あなたと会った最後の日
あなたの話していた一片の言葉が
今でもときどき わたしの中でうずくのです。
岡島弘子さんの詩集「洋裁師の恋」にでてくる
「こごえた初恋」を読んで、
あの日から・・わたしがずっと思ってきたことを
言葉にする事が出来ました。すごく不思議にも思う。